日本列島に寒波がきてしまいました。私が住んでいる東京はカラッカラに乾いた青空が広がっていますが、北日本や日本海側の各地では、大雪が降っているそうです。
特にこの冬は、青森県で大雪による被害が相次いでいます。ニュースなどでも、度々、青森県の映像が流れているので、ご覧になった方も多いでしょう。
私は、お正月を実家の山形で過ごし、つい先日まで山形市に滞在していました。同じ東北ですが、山形市内はいつものお正月よりも雪が少ないくらいでした。
で、たまたま実家にいるときに、テレビの情報番組を見ていたら、青森から中継が入りました。
中継先にいた男性ディレクターさん(だと思います)は、青森県でも特に豪雪地帯から中継していましたが、「いつもの年よりもいかに雪が多いか」ということを伝えようとしているようでした。
その中継をぼんやり見ているときに、私は「ん?」と思う言葉を聞いたんです。
それは「スタック」という言葉です。
男性ディレクターは「私たちがこちらの現場に向かっている途中で、スタックしている車がいたので、みんなで力を合わせて救出しました」というようなことを言っていたと思います。
「スタック」って、わかりますか?
雪道やぬかるんだ道などを運転していると、雪やぬかるみに車のタイヤがはまって、身動きできなくなることがあります。 この状態を「スタック」といいます。
こういう説明をされると、「ああ、ああいう状態ね」とわかっていただけると思いますし、雪国の人なら、だいたい知っていると思います。だから、この中継がローカルで、雪国にしか流れていないのなら、何の問題もありません。
でも、雪国以外の人は、この言葉になじみがないんじゃないでしょうか。
私がこの言葉を聞いた番組は、全国放送です。雪があまり降らない地域の方もたくさん見ていると思います。そういう番組で、ごく自然に(しかも、このディレクターさん、何度も使ってました)「スタック」という言葉を使うのは、どうなのかなぁ……。
言葉って、「誰に向かって使っているのか」を意識することが大事だと思うんですよ。たとえ、自分にとっては常識でも、相手にとっては常識ではないかもしれない。言葉に対する共通認識があるかどうかで、言葉の選び方って、変わってくると思うんですね。
ちなみに、この「スタック」には、他にも意味があります。ビジネスシーンでは、プロジェクトや業務、自分の仕事が行き詰まってしまった際に、「業務がスタックした」のように使うそうです。私はこういう使い方をしたことはありませんが。
もし、あの中継を見ていた人が、雪国の人ではなく、かつ普段からビジネスシーンで「スタック」を使っている人なら、「おいおい、正月から業務スタックかよ。大変だなぁ」と思ったかもしれませんね。