· 

近いとかえってやらないこと

今月は、私にしては珍しく、新幹線にも飛行機にも乗りませんでした。取材先が、関東圏内だったからです。

 

取材に伺ったのは、埼玉県飯能市と、茨城県結城市。

 

こちらは、飯能駅前の写真。市内にムーミンのテーマパークがあるので、ラッピングバスが走っていました。

 

そして、こちらが茨城県結城市の結城駅。

結城市は、茨城県の内陸部、栃木県との県境で、つくば市よりも北西の方向に位置しています。

絹織物「結城紬」で知られるまちで、「見世蔵(みせぐら)」と呼ばれる、歴史ある日本の建築が残っているところです。イメージとしては、小さな川越のまち、という感じでしょうか。

 

なのですが……私、せっかく結城市に行ったのに、撮ってきたのが、この駅の写真くらいしかなかったんです。前述の飯能市もしかりで、後でスマホの写真を見返して、自分でびっくりしました。

私は取材のために、ほぼ毎月、いろんなまちに行きます。各地で、車窓から見える景色や、まちの風景、その土地で食べたものなど、たくさん写真を撮ってきました。

 

ところが、今月の埼玉県飯能市と茨城県結城市では、駅の写真だけ。「なんでだろう?」と考えてみたんですが……。

 

おそらく、どちらのまちも「近いから」だと思うんですね。

 

飯能市は、池袋から電車で約50分、運賃は約500円。

結城市は、新宿から電車で約90分、運賃は約1,500円。

近いし、近いから安く行ける。行こうと思えば、いつでも行けますよね。

 

私が普段、取材に行くエリアは、ほとんどが東京から新幹線や飛行機で行く地方ばかりです。

東京駅から新幹線で2時間以上、さらにそこから在来線に乗り換えなどが多く、片道4時間くらいかけて行きます。もちろん、運賃も数万円かかります。

そうすると、行こうと思ってもなかなか行けません。

しかも、移動時間が長いので「あのまちに着いたら、あれも撮ろう、これも撮ろう」とあれこれ考えています。だから、あれもこれも撮ってきているんだと思うんです。

 

今回、私にしてはとても珍しく、近場(?)での取材だったことによって、そういう自分の無意識の行動に気がつきました。

 

「近いから、いつでも行ける」と思うけれども、実は、近いほど足を運ばない場所って、多いんですよね。

 

例えば、私は東京に住んでいますが、東京タワーにも、東京スカイツリーにも、東京ディズニーランドにも、めったに行きません。皇居や武道館も、仕事のために建物の前は通ることがありますが、わざわざ写真は撮りません。

 

でも、こういう場所って、東京以外から来た人は、たくさん写真を撮るんじゃないでしょうか。

 

「いつでも行ける」と思う場所こそ、実は自分の記録に残っていないものなんですよね。

 

次回、また近場で取材があるときは、たくさん写真を撮ってこようと思った、今月の気づきでした。