この一見するとルービックキューブみたいな立方体、実はルービックキューブではなくてパズルなんです。
こんな感じにしたり・・・
こんな感じにするとわかると思うのですが、大きな立方体は小さな立方体がたくさん集まってできていて、その中心が線のようなものでつながっています。
小さな立方体は、グルグル回転するようにできていて、一度バラバラにしようものなら、元の大きな立方体にするのが大変!まぁ、だからパズルなんですけど。
このパズル、とある雑貨屋さんで見つけたのですが、見本をいじっているときに元に戻らなくなってしまいました。
あ~あ、やっちゃった……。と思いながら、ふと、これって編集しているときの私みたいだなと、ちょっと笑ってしまったんです。
私の仕事は取材ライターで、主にインタビュー取材をしています。その取材内容を原稿にするときは、私の場合、次のような手順をふみます。これがいわば、編集という作業です。
1.インタビューの音源を文字起こしする。
2.文字起こしを読みながら、文章の構成を考える。
3.構成のとおりに、文字起こしを並べかえる。
4.並べかえた文章を読みながら、文章を整える。
5.「できた!」と思うまで4.を繰り返す。
人は誰かと話をするとき、順番どおりには話しません。質問されたら、答えるまでに「ええっと……」という感じで、思い出しながら話をします。当然、「あ、さっき言い忘れたんですけど……」というように、話が前後します。
だから、インタビューの音源を文字起こししてみると、そのままを文章にしただけでは読者に伝わらないんですね。
そこで、構成を考えます。聞いてきたお話を、どうやって伝えれば読者に届くのかを考えるわけです。これがパズルなんです。
たとえば、ある会社がそれまでと全く違う事業で成功したサクセスストーリーを取材したとしましょう。
・結果的にはサクセスになったけれど、
・それまでには試行錯誤や紆余曲折があります。
・新事業はどんな事業なのか、
・その前には何をしていたのかも説明しなければなりません。
・新事業を始めるきっかけや特に苦労したこと、
・社内外からの評判なども、こういう取材では不可欠です。
これらのひとつひとつのエピソードが、前述の立方体パズルでいうと小さな立方体です。
小さな立方体の形は崩すことなく、それぞれを組み合わせて、大きな立方体を形づくっていく。小さな立方体が崩れることはなくとも、組み合わせを間違えれば、大きな立方体はできあがりません。
これと同様に、ひとつひとつのエピソードがおもしろくとも、組み合わせを間違えれば、全然おもしろくない文章になってしまいます。だから、構成はパズルなんです。
ひとつひとつのエピソードを並べかえてカチッとはまったとき「やった!これでいける!」と、思わずガッツポーズしたくなります。
私のようなライターもそうですが、おそらく小説家のような文章を書く方々はもっと、文章そのものというよりも、このパズルのような構成を練りに練っているんじゃないかと思います。
さて、きょうは立方体パズルを解きながら、構成という名のパズルのヒントにしようかな。