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コロナ禍の記憶と記録

コロナ感染症が今年5月から5類になることがニュースになっていますね。3年以上続いたコロナ禍もようやく一区切りといったところでしょうか。

 

先日、マンガや映画で知られる「テルマエ・ロマエ」の原作者で文筆家でもあるヤマザキマリさんの著書「たちどまって考える」と「歩きながら考える」を読みました。

 

この2冊は、ヤマザキさんがコロナ禍で考えたいろんなことを書いたものです。ヤマザキさんの夫はイタリア人で、ヤマザキさんはイタリアにもご自宅があります。コロナ禍前は日本とイタリアをはじめとする世界中を旅するのが当たり前だったそうです。

 

でも、コロナ禍になって旅に出づらくなり、東京に留まって書いたのが「たちどまって考える」です。世界中でロックダウンなどの行動制限が行われたことや、そのときの日本やイタリアの人々の様子、ヤマザキさんの気持ちといった、まさにコロナ禍真っ最中のことが書いてあります。これは2020年9月に出版されました。

 

そして「歩きながら考える」は、その2年後の2022年9月に出版されました。こちらは少しずつ世界の経済活動が再開され、海外へ行けるようになった時期に書かれたものです。

 

ひとくちに「コロナ禍」といっても、2020年にパンデミックが起きて「これから世界はどうなってしまうんだろう…」と思った時期と、あれから3年が経った今では、世界の様子も自分の気持ちも、全く違います。それを、ヤマザキさんはこの2冊でしっかりと記録してくれていると、私は思いました。

 

私は毎日ではありませんがブログ(note含む)を書くので、その時々の気持ちを文章に綴っています。今、2020年の自分のブログを読み返してみると、コロナのせいで仕事がなくなってしまったとか、仕事がなくなったからお金がないとか、お金がないから仕方なく自炊をしているとか、そんなことが書いてありました。それから、3日間も家から出ていないとか、久しぶりに電車に乗ったらマスクをしていない人がいてちょっと怖いとか、そういうことも書いてありました。この3年間、コロナには一度も罹患していないのは幸いだと思います。

 

でもこれは文章として残しているから思い出すのであって、もし何も記録を残していなければ、たとえばこれから3年後にコロナ禍から解放されたら、すっかり忘れているかもしれません。そのくらい、人の記憶というのは当てにならないものです。

 

だから、コロナ禍について何も記録をしていない方には、今、まだコロナ禍の記憶がなくならないうちに、文章で記録しておくことをおすすめします。文章を書くことが難しいなら、箇条書きでもいいです。

 

3年前の自分と今の自分を比べて、変わったこと、変わらなかったこと。それを記録しておくことで、きっと後に「ああ、あれはコロナ禍がきっかけだったんだ」と振り返ることができると思うのです。