春は、新入社員が入社したり、人事異動があったりと、新体制になる会社や部署が多い季節ですね。
「社員たちが、飲み会の席などで『ウチの会社って、○○らしいよ。おもしろいよね』とおしゃべりのネタにしてくれるようになりたいんです」
これは、とある会社の広報担当者さんの言葉です。ずい分前に聞いたのですが、とても印象深かったので、ずっと覚えています。
この広報担当者さんがいる会社は、世界中にネットワークがあり、いろんなところで社員が活躍しています。だから、ともすれば「この会社の社員である」という一体感みたいなものが失われがちなのだそうです。それをなんとかしたいと、担当者さんは社内広報にも力を入れています。
私はこの会社の広報誌をつくるお手伝いをしています。具体的には、社内のキーパーソンにインタビューして、それを原稿にしたり、これまであまり知られていなかった意外な会社の歴史などを、社内の資料を使ってまとめたりします。
冒頭の言葉は、私が「広報誌を何のために発行するのでしょうか?」というような質問に対する答えだったと思います。
「社員がおしゃべりのネタにしてくれるように」というのは、とてもわかりやすい目的なので、私は「なるほど~」と思いました。こういう明確な目的があると、原稿の方向性が見出しやすくなります。
この会社の広報誌の場合には、気軽に会社のことをネタにしてくれるように、社員のみなさんが「おもしろい」と思ってくれそうな見出しをつけるなど、工夫をすることにしました。
会社や部署が新体制になると、一体感をつくりだすまでに時間がかかります。でも、まずは「会社のことを明るいネタにする」というのは、その第一歩になるかもしれません。そのための情報提供をするのは、広報誌の役目のひとつなんですね。