この花、おそらくヒヤシンスの一種だと思うのですが、小さな花がたくさん集まって、1本の「花」になっています。
文章も、これと似たようなところがあるんです。長い文章は、短い文の寄せ集めなので。とはいえ、単に寄せ集めているわけではなくて、集まった文がきちんと構成されて、ひとつの長い文章をつくっています。
きょう、とある企業の方と打ち合わせをしていて、原稿料の話になりました。
ひとくちに「ライター」といっても、その金額はピンキリです。キャリアによっても、知名度によっても、金額は全然ちがいます。また、私のように現場に行くことが基本の取材ライターもいれば、いわゆる「こたつライター」と呼ばれる、現場に行かずにググって書くライターもいるので、取材方法によっても、金額は違うんです。
いわゆる「こたつライター」さんたちの場合は、原稿料を「1文字あたり○○円」のように計算する人もいるそうです。長い原稿なら、たくさん原稿料をいただきます、ということですね。とてもわかりやすいと思いますが、私のような現場を取材するライターにこういう計算を当てはめることはできません。
私の場合は、たいてい現場で取材をして原稿を書くので、原稿料は「1記事あたり」で提示します。文字数にすると2000文字前後のことが多いですが、場合によっては4000文字くらいになることもあります。
でも、基本の金額は変えません。なぜなら、2000文字を書く場合でも、4000文字を書く場合でも、インタビューなどの取材にかかる時間はほとんど同じだからです。私の場合、60~90分程度インタビューすると、2000~4000文字くらい書ける内容を引き出せます(取材相手にもよりますが)。
もし、クライアントさんからのご希望が「原稿は2000文字程度で」という場合なら、たいていは4000文字くらいの内容をギュギュっと濃縮しています。だから、短い原稿の方が文字数を抑えるための工夫をしなければならず、時間がかかったりします。
・・・という原稿料のお話を企業の方としていたら、その担当者さん曰く「そりゃ、回転ずしと回らない寿司屋の違いに似てますね」と。回転ずしは1皿100円とかですけど、回らない寿司屋は単価がよくわからずに2万円だったりする。でも、どちらもそれぞれで満足する、と仰っていました。
私はこの例えに「なるほど、その通り~!」と納得しました。
そうなんです。原稿料も、量の問題ではなくて、質の問題なんです。「1文字あたり○○円」で計算したい方々には、それに相応しいライターさんがいます。一方で「少し高くても、いいものを書いてほしい」という方々もいます。
そういうニーズは業界を問わず、なんでもそうなんだなぁ。私はこれからも「回らない寿司屋」で仕事をしよう、と思ったのでした。