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深い話は打ち解けてから

仕事でもなんでも、初対面の人とうまく会話するコツは、「打ち解けてから、ようやく本題に入る」です。

 

初対面なのに、いきなり本題から入るというのは、例えて言うなら、初デートの時にいきなり「エッチしよう!」って迫ってるようなものなんですよ。

 

だから、話の流れで、さり気なく、段階を経て、自然に深い話を聴けるようになりましょう。

 

「打ち解けてから、本題に入る」ことを説明する専門用語があるんです。NLP(Neuro-Linguistic Programming)=神経言語プログラミングっていう学問の専門用語です。

 

話をしてくれる相手と打ち解けた状態になることを「ラポール」

そのために、相手の話す言葉や感情などに合わせることを「ペーシング」

相手の姿勢などの見た目に合わせることを

「ミラーリング」っていうそうです。

 

そんな専門用語は知らなかったけれど、私はは現場で自然にコレをやってたんだ、ということにあるとき気づきました。

 

私は以前、沖縄のテレビ局の報道部に勤めていました。だから、毎年絶対に必須の取材だったのが、沖縄戦の話。そう、戦争についての取材です。沖縄では、悲惨な沖縄戦が終結したといわれる6月23日を「慰霊の日」といって、学校などは休みになります。戦争で犠牲となった方々の御霊を慰め、平和を誓うという日です。

 

この日を前にすると、戦争についての取材が必ずありました。たいていは、戦争を体験したおばあやおじい(おばあちゃんやおじいちゃんのことを沖縄では親しみを込めてこう呼ぶ)のところへ話を聴きに行くわけです。

 

この取材が、大変でした。なんで大変なのかというと、たいていのおばあやおじいたちは、戦争のことは忘れたいと思っているから。誰にとっても物凄くイヤな思い出ですものね。

 

そんな深い記憶を、初めて会った私たちが、しかもマイクとカメラを持って行って聴くわけです。こういう時は、いきなり「戦争の話を聴かせてください」って本題に入るのがもっともダメなパターン。深い記憶を引き出せないままに終わってしまう。

 

初めて会った人にも深い話をしてもらうには、どうするか。まずは、安心感を持ってもらって「信頼関係」を築くこと。深刻な話を聴きにいっていても、最初に大事なのは、ニッコリ笑顔であいさつ。

 

名刺を出すと、私の苗字は「長谷川」って書いてある。コレって、沖縄では珍しい名字です。

沖縄の苗字といえば、金城、大城、島袋などなどですからね。

おばあ「あい、あんたは内地(本土のこと)の人ね~」

わたし「そうよ~。でも、沖縄に長いこと住んでいるから、島ないちゃー(沖縄人のような県外出身者)だわけさ~」

おばあ「そうね~。そういえば、あんたは沖縄訛りだね~」

こういう感じであいさつすると、たいていの人は安心してくれました。

 

んで、次の段階も、まだ戦争の話はしません。心を開いてもらうには、相手のことを知らなきゃ。

 

深い本題に入る前に、おばあの「現在」を聴いていました。今はどんなことをして過ごしているのか、孫は何人いるのか、好きなこと、楽しいことは何か。こうやって話をしていくうちに、だんだん打ち解けてくるわけです。打ち解けたら、ようやく本題に入ります。

 

大事なことなので、もう一度。

初対面なのに、いきなり本題から入るというのは、例えて言うなら、初デートの時にいきなり「エッチしよう!」って迫ってるようなものなんですよ。話の流れで、さり気なく、段階を経て、自然に「深い話」を聴けるようになりましょう。まずは、安心感を持ってもらって「信頼関係」を築くことが大事です。