YouTubeなどが一般的になり、誰もが気軽に映像で番組をつくったりすることが増えてきました。
なにかの番組を見て思ったんですけど、どんなに録画だとしても、「誰かに向かって伝える」ということと、単に「かまないでスラスラしゃべる」というのは違いますよね。
以前、とある若者と一緒にお酒を飲んでいた時のこと。その若者が
「この前、おもしろい話を聞いたんですよ」というので、フムフムと聞いていました。
でも、私にはその若者の話のどこがおもしろいのか、さっぱりわかりませんでした。わからずじまいだったので、どんな話だったのかすら覚えていません(笑)。
私にはさっぱり何にも伝わっていないのに、その若者は自分がしゃべりたいだけ立て続けにしゃべって、
「ね?おもしろいでしょう?」って言うんですよ。
まぁ、実際にはよくいますよね、こういう人。
私と飲みながら話していた若者は、おそらく、スラスラと話をすることが「話し上手」だと思っていたのでしょう。だから、私には何も伝わらなかった。
だって、自分が「しゃべりたい」と思っているだけで、私に「伝えよう」としていないんだもの。自分が「しゃべりたい」と思うだけなら、それは単なる自己満足に過ぎません。
「話し上手」といっても、スラスラと立て板に水のように話す人のことを「話し上手」とは言いません。 私は、そういう人のことを「間がない人」「間がぬけている人」と言っています。
聞き手が話し手の話す内容を理解するには、ほんの少しのタイムラグがあります。
話し上手といわれる人は「みなさんは、どうですか?」「こんなことありますよね?」という感じの、投げかけというか、相づちを求める言葉を、ところどころに挟みながら、話をします。
投げかけをして、相手が「うん」とうなずく、ちょっとした「間」が、相手に何かを伝えるには、必要なんですね。
間があると、聞き手は「そうそう」「あるある」と頭で理解しながら、その人の話を聞くことができる。
理解することができるから、聞き手側から見て「話し上手」と言われるんですね。
本当に話し上手な人は自分から「オレ、話し上手だからさ」とは言いません。 聞き手から「あの人、話し上手だよね」と言われるんです。
大事なことなのでもう一度。「伝える」ということと、単に「しゃべる」というのは違います。
普段から「誰かに伝える」ということを意識していると、きっと「伝えられる」人になると思います。