以前、とあるバーでのマスターとの会話。
そのバーは、マスターが知らないうちにネットの「まとめサイト」などで「デートに使える店」として紹介されていたそうです。
マスター曰く「そうかなぁ…。ウチはデートには向かないと思うんだけど…」
私も、その店がデートに向いているとは思いません。それにマスターがそう思っていないのに、なぜそういう記事に掲載されたのか?気になって、そのまとめサイトを見てみました。
そのまとめ記事は、有名なグルメサイトの内容をいくつかピックアップして転載したもの。つまり、マスターから話を聞いて書いた記事ではありませんでした。
最近は、このまとめサイトのように、他の誰かが書いたネットに載っている情報を、さも自分で見てきて書いたような記事が増えてきました。私はこれを「インスタントな情報」だと思っています。現場に行かなくても、当事者から話を聞かなくても、書けるからです。
時間もお金もかからない、お手軽な仕事。
インスタントな情報が悪いというわけではありません。実際、そのバーは「デートスポット」と紹介されているおかげで、これまでのお客さまにはいなかったような感じの人が来ているのだそうです。だから、自分の想いとは違うように店を紹介されたマスターも「話題になることは悪いことじゃないから」と仰っていました。
でも、私は取材をして原稿を書くという仕事をしている以上、自分では「インスタントな情報」を書かないようにしようと思っています。
きちんと現場へ行き、当事者から話を聞いて、それをわかりやすく原稿にしたい。
例えるなら、食べてもいないものを「おいしい」と書くのではなく、きちんと味わってから「どのようにおいしいのか」を書きたい。自分で体験した「本物の情報」を伝えたい。
お店や会社のことを書く時は、その代表や広報担当者などから話を聞くのが当たり前だと思っています。話を聞いて、その店や会社への「想い」を書くのが当たり前だと思うからです。
そうやって話を聞いて、信頼関係を築くから、いい記事が書ける。たとえ、その日しか会わない取材相手だとしても「取材は信頼関係」なのです。