先日、YouTubeを眺めていたら、とある小型家電の動画広告が流れていました。
その動画は、その製品を開発した人物のストーリー。あらすじは、こんな感じです。
その人物は、あるメーカーの開発部にいたが、そのメーカーが海外の大手企業に買収され、開発部は全員解雇に。そこで、その人物は父親とともに会社を立ち上げ、元同僚らとともに新製品の開発をスタート。研究を重ねて、ようやく、この製品ができあがった。
というようなものなのです。一見すると、まるで「下町ロケット」のような、小さな会社が大きな会社に立ち向かうという話に見えます。だから、私もちょっと興味をひかれました。
だけど、この動画が怪しすぎる。。。
1.その人物は、一応、日本人らしいのですが、なぜか名前はローマ字表記。
2.日本人の話のはずなのに、登場する人物はほとんどが外国人。
3.「研究を重ねた」というわりには、製品の特徴が簡単すぎる。そして、安価すぎる。
と思って、その製品の商品名をググってみました。広告と思しきツイートやブログはありましたが、実際に買ったレビューはない。通販サイトのリンクがはってあったので見たけれど、「利用規約」があるのに「会社概要」がない。
これは、本当にあやしい会社だ、と直感的に思いました。
「モノよりコト」と言われるようになって、商品そのもののスペックや特徴というよりも、その商品の開発秘話など、背景を語る「ストーリー」によって、買う人の興味をひく手法が増えています。
ストーリーを伝える方法は、人の感情に訴えるやり方です。私も、さまざまな会社からご依頼を受けて取材をし、その会社や商品のストーリーを書くことがあります。たいていの会社には、なにかしら人の心を打つような苦労話はあるものです。だから、取材しながら、「ああ、いい話だな」と思ったことは、何度もあります。
だけど、それは、そのストーリーが「事実である」ということが大前提です。
そのストーリーが事実でない場合は、その会社が「ウソをついている」ということになりますよね。そんな会社の商品が、いいもののはずがありません。
リアルな世界なら、実際にその商品に触れたり、売っている人に会ったりすることができるので、「ウソをついている」ということは隠しきれないと思います。
でも、ネット通販は…残念ながら、不誠実な会社がつくった、巧妙につくられたストーリーに、騙される人もいるかもしれません。前述の小型家電のように、ちょっとでも「??」と思うあれば、通販の手続きを開始する前に、しっかりと確認することをおすすめします。商品が届いてから(届かないかもしれないし)「ああ!ダマされた!」なんてことにならないように。