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研修講師もやってます。

みなさんは、小学校の国語の授業で、教科書を朗読させられた記憶がありますか?

 

朗読、好きでしたか?

 

先日、研修会社さんからご依頼いただき、とある業界団体の若手社員向けの「プレゼンテーション研修」講師を務めてきました。

 

研修期間は2泊3日。3日間で、おどおどしたプレゼンから、堂々としたプレゼンに変化させます。実は、3年ほど前から毎年ご依頼いただいている研修なんです。リピートしていただけるってことは、効果を実感していただいているんだと思います。ありがたいです!!

 

私が講師を務めるプレゼン研修は独特で、最も特徴的なのは「自分がしゃべっている動画を撮る」ということ。自分のスマホに自分がしゃべっている動画を録画してもらって、自分で自分のイヤなところを直してもらう、というものです。

 

これがね~、効くんですよ。受講生のみなさんは「あ~!これがオレのしゃべりなのか~!」って、ものすごいショックを受けるみたいです。

 

この方法を思いついたのは、私自身がテレビのリポーターだったから。当時はまだスマホも携帯もなくて、動画を簡単に撮影できる時代ではありませんでした。でも、私はテレビに映ることも仕事のうちでしたから、自分が出た番組の映像を見て「アタシ、しゃべり下手すぎ…」と落ち込み、それをバネに何度も何度も練習して、うまくなっていったのです。その自分の体験をもとに、研修の内容を作っています。

 

で、受講生たちにプレゼンがうまくなるコツをお伝えするのですが、そのポイントのひとつに「読むことと伝えることの違い」というのがあります。

 

日本人でも、プレゼンをかなりし慣れている方は別として、ごく普通のビジネスパーソンは、きれいなパワーポイントの資料をスクリーンに映し、その横の演台で台本を「読む」ことがプレゼンだと思っている人がいます。

 

でもね、それじゃ、ものすごくつまんないプレゼンですよね。誰も聞かないし、聞いていても眠くなっちゃう。

 

今回の受講生たちもそれがわかっているらしく、「よくあるでしょ、つまんない新商品の発表会とか」って私が例を挙げたら、会場から「フフフ」って笑いが起きました。

 

だから、あんなつまんない「読むプレゼン」じゃなくて「伝わるプレゼン」にしよう、という話をするわけです。

 

「読む」のと「伝える」のは何が違うのか?

 

それをわかってもらうために、私は自分が取材して書いた原稿の一部を、「読む場合」と「伝える場合」で読み分けています。読む場合は、スラスラ読むのですが、抑揚もなく、身振り手振りもありません。一方で伝える場合は、大事なところで間をおいたり、声に抑揚をつけたり、必要なところでは身振り手振りを付けたりします。もちろん、まったく同じ文章を、です。

 

「読む」のと「伝える」の違い、わかりますよね?どう思いましたか?

 

という質問を受講生にしたところ、ひとりがこう答えました。

「読んでいた時は、国語の授業で教科書を朗読した時みたいで、何を言っているのか頭に入ってこなかったけれど、伝えた時は、大事なところや数字がきちんと頭に入って、わかりやすかった。こういう伝え方をしてもらっていたら、国語の授業がもっと楽しかったと思う」

 

私は「ああ、なるほど。きっとこの受講生は、子どもの頃、国語の教科書の朗読がキライだったんだろうな」と思いました。教科書には、素晴らしい作家の素晴らしい文章がたくさん載っているのですが、先生の伝え方ひとつで、国語そのものがキライになっちゃうんですよね。国語がキライになる、ってことは、文章を好きになるきっかけをひとつ失うってことです。文章がキライになるってことは、人に何かを伝える手段のひとつをキライになるってことです。

 

プレゼンだけでなく、現代はSNSやブログなどで、個人が情報を発信する時代です。そういう時代なのに、日本人の中には「人に何かを伝える」ということに対して、苦手意識が強すぎる人が多くいます。それは、案外、致命的なことじゃないでしょうか。

 

「人に何かを伝えるって、おもしろいんだな」「プレゼンって苦手なんだけど、練習すればなんとかなるんだな」私の研修を受けて、そう思ってもらえると、とってもうれしいです。

 

あ、そうそう。今回の研修の受講生たちも、最終日にはしっかりと「伝えるプレゼン」ができるようになってくれました。これからそれぞれの職場で、研修で習得したことを実践してくれるといいな。みんな、がんばってね!!