先日、とても大きな金目鯛のアクアパッツァをいただきながら、とある大企業の方とお話をしました。
話題は「汽水」です。
汽水というのは、海水と淡水が混ざった状態のことで、汽水域というと、海に近い河口付近などの、海水と淡水が混ざった水域のことです。沖縄などにあるマングローブは、この汽水域に育つことが知られていますね。
んでも、その日、私たちがお話していたのは、川の話でも海の話でもなく、「組織」の話です。
今、さまざまな業界では、組織再編が進んでいます。私がお話を伺ったその方も、企業がグローバル化しているので、海外の事業部と国内の事業部との組織再編を進めているのだとか。
それで、その方が仰っていたのが「汽水域みたいな人がいないと、両者の理解が得られない」のだそうです。
たとえていうなら、海外事業部は海水で、国内事業部は淡水。お互いの常識がまるで違うから、海外担当者にとっては当たり前のことが、国内担当者にとってはあり得ないことだったりするわけです。だから、両者のことがわかる「汽水域」みたいな人が必要だ、と。
この方とのお食事会は、全然仕事じゃなかったので、実は私は当初、「ふ~ん。大企業って、大変だなぁ」と、完全に他人事としてお話を聞いていました。
でも、考えてみれば、これって大企業の話だけではありません。例えば、中小企業の社長が代替わりする時だって、こういうことがありうるわけです。先代の社長とやり方が違うとか、今までの事業と違うことを始めるとか…。
もっといえば、企業のことだけではなく、文化が違ういろんな人たちが一緒になって何かをやろうとする時には、必ず「汽水域の人」が必要になってくるんじゃないでしょうか。
この話をしてくれた方は「びんこさんも汽水域の人だね」と仰ってくれました。ん?なんでだろう?と思ったら、外国人と日本人とか、沖縄人と本土の人とかをつないでいるからだとか。
ああ、なるほど~。そう言われてみれば、そんな感じもします。
海水と淡水の間にある汽水域。2つをつなぐ中間的な存在。なんだか、ライターという仕事そのものが、汽水域の仕事であるような気がしています。