· 

沖縄の女性と内地の男性

前回に引き続き、私が沖縄に住んでいた頃の、沖縄における恋愛や結婚事情をちょっと振り返ってみたいと思います。

 

前回は「沖縄の男性と内地の女性」として、私自身の体験をお話しました。

 

では逆に「沖縄の女性と内地の男性」という組み合わせはどうなのでしょうか?

 

そりゃもう、エキゾチックな顔でやさしい性格の沖縄の女性を、内地の男性はあっという間に好きになります。

 

実際に、私が大学生だった1990年代には、内地から大学進学のために沖縄に来た男性と、沖縄の女性が恋に落ちたカップルが何組もいました。これはきっと、今も変わらないと思います。

 

でも、結婚となると、これがなかなか難しいんです…。なぜなら、沖縄人の親から了承を得にくいから。

 

その大きな理由は2つ。ひとつは、沖縄の女性が内地の男性と結婚した場合、内地に嫁に行く可能性が高い。だから沖縄人の親は、娘のことを心配して、なかなか「うん」と言わないんですね。

 

でも、これは例えば、内地の男性が沖縄の企業に就職するなど「沖縄に永住」という意志を示せば、なんとかなることもあります。

 

けれど、問題はもうひとつの理由です。「内地人は、とにかくダメ!」という沖縄人の親が少なくないのです。これは心情的なものなのですが、とても悲しい背景があります。

 

それは太平洋戦争末期、激しい地上戦で多くの民間人も犠牲になった、沖縄戦の時のこと。日本軍がとても理不尽な理由で、沖縄人を死に至らしめた、ということがたくさんあったからです。だから、沖縄人のおじいやおばあ、そして彼らに育てられた60~70代くらいの人たちは、内地人にあまり良くないイメージを持つ人が少なくありません。

 

もちろん、60代以上の人たちでも、普段はそんなことは全く意識させませんし、むしろ内地人にとても親切にしてくれます。でも、内地人が親戚になる、ましてや自分の娘や孫が内地人の嫁になるとなれば、話は別です。

 

私が大学生の頃にも、沖縄の女性と内地の男性で、周囲が「結婚するんじゃないか」と思っていたカップルが何組もいました。けれど、沖縄人の親の大反対を受けて、仕方なく別れてしまったカップルも何組もいました…。

 

今は、あの頃からずい分いろいろ変わりましたし、結婚適齢期の男女の親たちの中には「内地人はダメ!」なんてことは言わない人もいるかもしれません。だから、ひょっとするとこんなことは、今は少ないのかもしれません。でもやっぱり、遠く離れた内地に、娘や孫を嫁に出すことは、沖縄人の親にとっては寂しいことなんだろうなぁ、と思います。