· 

「沖縄人の肌感覚」こんな感じだはず!

自分のふるさとのことを、他の地域の人が話題にしてくれて、うれしいと思うこともあれば、ちょっと「???」と思うこともあると思います。

 

私にとってのふるさとは2つ。生まれ故郷の山形と、約15年間住んだ沖縄です。沖縄には大学生の頃から30代まで住んだので、私の人格形成にかなり影響が大きく、自分でも沖縄人たちにかなり近い感覚を持っていると思います。沖縄の友人たちからも、親しみを込めて「シマナイチャー」と呼ばれています。

 

ところで、沖縄のことを沖縄人じゃない人たちが語る、ということは、もう珍しいことではありません。それだけ、良い意味でも悪い意味でも、沖縄は注目されているのだと思います。

 

先日、東京・荻窪の本屋「Title」さんで行われたトークイベントには、沖縄について書いた本の著者さん2人が登場しました。そのイベントに登場した方々が書いたのが写真の本です。左がノンフィクションライターの藤井誠二さん著「沖縄アンダーグラウンド」で、右が社会学者の岸政彦さん著「はじめての沖縄」です。

 

お2人とも、もう何十年も沖縄に通っている方で、藤井さんは沖縄と東京の二拠点生活をしています。だから、沖縄についてはとても詳しいし、沖縄を愛しているんだなぁ、ということが、本からも、イベントでお会いしたご本人たちからも伝わってきました。

 

んで、そのトークイベントが開かれた翌日。藤井さんと岸さんがTBSラジオ「荻上チキ・Session-22」(その時の音声配信にリンク)という番組にご出演されて「ノンフィクションライター・藤井誠二、社会学者・岸政彦が聞き取り、見えてきた、戦後沖縄の姿。そして、いま沖縄について考えることとは?」というコーナーで、沖縄のことをお話されたんですね。この番組の荻上チキさんは、9月30日に投開票が行われた沖縄知事選も取材されていて、3人で沖縄のことを熱心に語ってくれていました。

 

前述のように、私にとって沖縄は、第二のふるさとです。だから、こうして全国放送で取上げてもらって「うれしいなぁ」と、最初は素直に番組を聞いていました。

 

でも、聞いているうちにだんだんと、なんだかイヤな気持ちがモヤモヤしてきたんです。

 

なんでだろう??このモヤモヤはなんだろう??

 

で、このコーナーのラストで、荻上チキさんが「今度は、沖縄の方も交えてお話しましょう」と仰っていたんですが、ああ、私のモヤモヤはこれだ!と。

 

そう、沖縄人なしの、標準語だけで語られる沖縄。

これに、ものすごく違和感を覚えたわけです。

 

例えば大阪の人が、大阪のことを大阪以外の人たちだけで語ったラジオ番組を聞いたら、どう思うでしょうか?「大阪人でもないのに、大阪のことを語るな!こんなん、聞いてられへんわ!」と思うのではないでしょうか?

 

たぶん、シマナイチャーである私が感じた違和感は、そういうことだと思います。

 

…と、いうようなことをSNSに投稿したら、沖縄人から「アンタは沖縄人の肌感覚がわかるシマナイチャーだからね~」と言われました。「沖縄人の肌感覚」なるほど!!

 

藤井さんと岸さんも、トークイベントでもこのラジオ番組の中でも「沖縄と内地との間には(ひとことでは言い表せない)境界線がある」ということを仰っています。私も、それはすごく感じますが、でもきっと、彼らが感じる境界とはちょっと違う感覚なのだろうと思います。

 

沖縄人の微妙な肌感覚を、少しはわかるシマナイチャーとして、気づいた時にはこうして言葉にしていこうと思います。そのきっかけをくれたのが、藤井さんと岸さんのトークイベントとラジオ番組なのでした。この出逢いに感謝です!!