先日、ご依頼いただいた原稿を書いていて、「そういえば、なんでだろう?」と思ったことがありました。
その原稿は、私がフリーライターとして仕事をしてきて、これまでにぶつかった困難や不安について書く、というもの。まぁ、最も多い不安や困難は、突然に仕事をキャンセルされたり、フリーなので銀行からお金を借りられなかったりと、経済的なことがほとんどです。
んで、それについていろいろ書いて、クライアントさんに提出したところ「なんだか、とても大変なんですね。どこかに就職した方がいいんじゃないですか?」とお返事をいただいたんです。
あ、それは私、考えたことなかったわ。
なんで考えたことなかったんだろう??
そもそも、私がフリーライターになったのは「仕方なく」だったんです。東日本大震災の直後、自粛ムードの影響を受けて、私は当時勤務していた飲食店をクビになり、さらにその頃は日本中が不景気だったので、就職先が見つからなくて、仕方なく、フリーライターとして活動を始めました。
とはいえ、2006年に東京に出てくるまでは、テレビ局の報道部で取材と原稿執筆をしてましたから、そういう経験が、すでにあったわけですが。
あれから7年半が経ち、今でもなんとか食べていける程度にしか稼げていませんが、それでも少しずつは仕事の幅が広がっていると、自分では思っています。7年半前は、1本あたり数千円の原稿しか書かせてもらえなかったのに、今では1本あたり数万円の取材原稿や、1本あたり数十万円のゴーストライターの仕事が来るようになりました。
だから、今まで「転職する」とか「就職する」ということは、考えもしなかったんです。
確かに経済的には大変です。47歳という年齢にしては、年収は低いと思います。そりゃ、傍から見れば、「そんなに大変なら、就職すればいいのに」って見えるんでしょうね。
今回、そのクライアントさんから「就職すれば…」って言われて、初めて気づきました。「就職したくない」とか「就職できない」とかではなくて、私はフリーライターになってから「就職という選択肢を考えたことがない」ということに。
たぶん、これが「好きなことを仕事にする」ということなんだろうな、と思います。まぁ、なんていうんですか。カタカナで書くと同じ「テンショク」でも「転職」じゃなくて「天職」ってことですね。