我が家にはテレビがないので、ラジオが活躍している。ニュースや情報を聞くためでもあり、BGM代わりにかけていることもある。
先日、ラジオでとある情報番組を聞いていたら、今話題になっているお菓子のブームの火付け役という方がゲストとして登場していた。その方は、お菓子メーカーの方でもなく、マーケティングの専門家でもなく、インスタグラムで注目を浴びて、ブームに火を付けた人で、今ではお菓子メーカーの新商品開発の助言をしているという、若者である。
その方の話し方が、残念ながら、なんともラジオに不向きだった…。
滑舌が悪いとか声が通らないとか、そういうことではなく、「これ」「それ」「あれ」が多くて、聞いている側はさっぱりわからないのである。
前述のように、その方は「インスタグラムで」注目を浴びた人だ。インスタグラムは写真投稿サイトである。どうやら、スタジオでもインスタを見ながらしゃべっているらしく、「あ、これは~、○○というお店のもので、とってもおいしいので好きです~」「これは、このソースのところが△△という味で~」という具合である。テレビにも登場している方らしいが、おそらくラジオ出演は初めてなのだろう。
番組のナビゲーターが慌てて「◇◇みたいなユニークな形のパフェですね」とか「あ、パンケーキの上に青いソースがかかっていますね」とかフォローしていて、なんとかその人が言っていることをリスナーに伝えようと、四苦八苦している感じが伝わってきた。が、しかし、わからないものはわからない。
結局、ナビゲーターはその方の名前を改めて紹介して「インスタグラムで検索してご覧くださいね」と、言うしかなかったのである。
いやいやいや、これ、ラジオ番組ですよね?
私のように、部屋で聞いている人だけじゃなくて、車を運転している人とかもたくさん聞いてるわけですよね?
この例だけではなく、最近はラジオで「SNSに写真アップしてます」ということが多い。
耳で聞くだけでわかるメディアだから、運転中にもラジオを聞いてるんだと思うので、「SNSで検索すること」が前提になってはダメなんじゃないだろうか?
テレビにはテレビの、ラジオにはラジオの、本には本の、ウェブにはウェブの「伝え方」がある。当たり前だが、それらは全て、電波や紙面の向こう側にいる、視聴者やリスナーや読者に伝わらなければ意味がない。伝わらないと、受け取る側もモヤモヤするし、結果としてその番組や本やサイトが売れないということになると思う。
何よりも、伝える側はプロなはずなのに「伝わらない」っていうの、なんだか受け手に対する「愛」がないと思うんですよねぇ…。