私は仕事もプライベートも、ひとりで行動することが圧倒的に多い。フリーランスだから、取材以外の仕事はひとりだし、仕事を終えて、飲みに行くのもひとりだ。
ひとりでどこへでも行くせいか、よく声をかけられる。男女問わずだが、やっぱり男性から声をかけられることの方が多い…と思う。
先日も、とある店でひとりで飲んでいたら、ガッシリした体系のオニイサンから声をかけられた。見た感じは40代くらい、いかにも体育会系で、明るくて元気そうなオニイサンである。
その日は一般的にはお盆休み中だったこともあって、ふるさとはどこかとか、実家に帰省した時は何をするか、といった話になった。
いくらも話が広がらないうちにその人から、「オネエサンって、いくつ?」と聞かれた。私は「永遠の38歳」と答えた。実年齢を言うと、たいていは私よりも年下なので、それまでスムーズに話していた人が、突然ぎこちなくなったりする。だから、話しにくくなるよりも、こうやってごまかした方が話の幅が広がるので、最近はこう答えることにしている。
ところが、その体育会系のオニイサンは、引き下がらなかった。
「永遠の38歳ってことは、それよりも上ってこと?何で本当の年齢を教えてくれないの?」
は???
見ず知らずの女性に対して実年齢を聞くのは、失礼じゃないですか。もっと違う話があるでしょうと、私はそのオニイサンにハッキリ言った。すると、向こうはこう言ったのである。
「オレはキミのことが知りたいんだよ」
いやいやいや、オニイサン、あなたは何か勘違いしているよ。その言葉は、女性を口説く時の常套句ではあるけれど、こういう時に使う言葉じゃない。年齢を知ってどうするのかと聞くと、あちらはこう言った。
「年齢が近かったら、話が合うじゃん」
はは~。年齢が近い人と、昔話がしたいわけね。昔流行った歌とか、服装とか、ギャグとかを言って「わかる~!」とか言ってもらいたいんでしょうけど、アタシ、そういうの大っっっ嫌いだから!!!
…と、言ってやりたかったが、きっとまた「なんで?」という顔をされると思って、やめた。こちらのエネルギーをムダ使いするだけだ。女性と話をする時に、年齢のことしか言えないオニイサンって多いけど、やめた方がいいですよ。嫌われても、好かれることは少ないと思うから。