東京はあまりにも暑いので、少しでも涼しくなるような写真を、と思って探したら、お正月に山形の実家へ帰省した際に撮影した写真を見つけた。
山形で生まれ、大学生から30代までは沖縄に住んでいた私は、山形弁、沖縄訛り、標準語の3つの言葉を使い分けている。東京で仕事をしている時は標準語、山形や沖縄へ帰った時は、それぞれの地域の言葉で喋るのだ。
東京の人と話す時は、ほとんど方言を使う必要はないが、「喋ってみて」と言われることがある。そういう時、私は
「んだて、山形弁しゃべったって、わがんねべ~」(だって、山形弁で喋っても、わからないでしょう)と思い切り訛って話す。
すると、たいていはその場にいる人たちが大笑いする。マジメな仕事の場では、笑わないまでも、場が和む。初対面の人たちが集まった場を和ませることを「アイスブレイク」というが、方言は、最高のアイスブレーカーなのだ。
このアイスブレーカーは、地方での取材や、地方出身者の方にインタビューする際にも有効だ。
例えば、私が以前、仕事でお世話になっていた方が茨城県出身の方で、「やまがだの人はなまってるよね~」と、思い切り訛って言われたことがある。北関東と南東北の言葉はよく似ているので、茨城や栃木に取材に行った時にこの話をすると、「わかります~!」と笑っていただけて、すぐに打ち解けてもらえる。
中学や高校の頃は、「方言なんてカッコ悪い」と思っていたこともあった。東京出身の人は、いつでもどこでも標準語でカッコいいと思っていた。社会人になってからも「仕事をする際には標準語で話すべきだ」と思っていたこともある。
けれど今、方言は私にとって、大事な道具である。地方出身者だからこそ持っている、この大事な道具を、これからもっと活用していこう、と目論んでいる。