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本は音楽のアルバムのようなもの

本は、音楽でいえばアルバムみたいなものだと思うことがある。

 

例えば、これは私が仕事などで勢いをつけたい時に聞くローリング・ストーンズのベスト盤。ベスト盤のような本は、例えば1人の作家の作品集のような感じだ。

 

アルバムにはたいてい、ノリノリのアップテンポもあればバラードも入っている。ベスト盤でなければ、アルバムを出した時のアーティストの「今」が浮き彫りになる。

本も、その作品を書いた時の作者の「今」が必ず反映されていると思うのだ。時代を反映している作品が多いから、作者の「今」であり、読者の「今」でもあるかもしれない。

時代を反映しているというのも、音楽と本との共通点のひとつだと思う。

 

けれど、音楽にも本にも、時代を超えて愛されているものがある。写真のローリング・ストーンズなんて、その典型だろう。

 

音楽は、本よりも一足先にデジタル化が進んでいる。だから、CDというモノよりも、音楽配信サービスがどんどん進んで、CDショップが激減しているのは、周知の事実だ。一方で、アナログが再度注目されるようになり、レコードやカセットテープが再発売されたりもしている。

 

本も、出版社さんや書店さんが厳しい状況にある。まだ音楽ほどではないにしても、雑誌はどんどんデジタル化が進んでいるし、マンガや小説をスマホで読む人も増えてきた。


それでも私は、紙の本が好きだし、音楽も配信サービスよりCDが好きだ。本来の目的を果たすだけなら、本は視覚的な文字が、音楽は聴覚的な音があればいいのだろうが、モノには質感という「触感」が伴う。本にも音楽にも「触感」があると、より人間らしいと思うのだが、いかがだろうか。