この本「なんくるなく、ない」(リンクあり)は、
作家、よしもとばななさん
(吉本ばななさんから改名)の
沖縄と奄美についてのエッセイです。
大学時代から15年に渡り、
沖縄に住んでいたアタシは、
この本を読んで、というよりも、
本の中にある沖縄在住の写真家、
垂水健吾さん(リンクあり)の
写真を見て、沖縄に帰りたくなりました。
このブログの冒頭にある海の写真は、
垂水さんのものではないけれど、
こんな風に額に入れて、仕事机の近くに飾り、
アタシはいつでも沖縄の海に思いを馳せています。
んで、本文については、
沖縄の自然や文化の描写が
ばななさんらしく素晴らしくて、
「あ~、わかる、わかる!!」
という部分がいくつもありました。
中でも、「まぶい(魂)」については、
「あ~、そうそう、そうなのよっっ!!」
と思わずにはいられなかったので、引用しますね。
「大学時代を東京で過ごした学さんがなにげなく
『大和にはまぶいの抜けたままの人がいっぱいいて驚いた』
と言った。(中略)
大勢人がいるのに、みんな薄く見える感じは、
それなんだ、と思った。」
そうそうそうそう!!!
これなのよね~!!
旅や出張で沖縄から東京に戻った時も、
実家の山形から戻った時も、
電車にはたくさん人が乗っているのに、
なんだか淋しい感じというか、
誰もいない感じというか、
そういうのをアタシも感じてたわ。
でもね、この感覚がわかるのって、
東京にも住んだことがある人だと思うの。
引用した文章の中にも
「大学時代を東京で過ごした」ってあるでしょ?
東京って、
どこか人間っぽくないなぁ、
自然(海とか山ではなくナチュラル)じゃない
何かがあるなぁ、って思うのは、
沖縄だけじゃなくて、
東京以外に行ったことがある人は
みんなそう思っているかもしれない。
だから「東京脱出」なんて言うんじゃないかしら。
アタシは東京に出てきて10年くらいだけど、
この違和感からはまだ抜け出せない。
だけど、
東京に来なければわからなかった感覚もある。
それは、
「日本って、狭いな」
「世の中にはいろんな人がいるな」ってこと。
日本中、世界中のいろんなところから
来た人たちが集まっている東京では、
いろんな人がいて、いろんな仕事がある。
だから時には、
人間としての自分をちょっとガマンして、
乗り越えなければならない
何かがあるのかもしれない。
それは例えば、
たくさんある他人の目を気にせずに
突き進む強さだったり、
強くて大きな相手を前にしても
怯まないしたたかさだったり。
だからアタシたち東京に住む人は、
時々、人間に戻りたくなって、
沖縄のような土地に帰りたくなるのだと思うわ。